耳鼻咽喉科の病気

耳の病気

耳の働きは「聴覚」と「平衡感覚」です。中耳炎、加齢などできこえが悪くなると、会話やテレビを観るといった日常生活に支障をきたします。中耳炎は子供の時にきちんと治しておかないと、大人になってからもトラブルを起こし一生付き合う病気になってしまいます。加齢性の難聴が進み、コミュニケーションが取れなくなると認知症のリスクが上がるという報告もあります。めまい、ふらつきは耳から来ている場合が多く、突然発症するため、かかりつけの耳鼻科があると安心できると思います。
耳の病気
耳

症状から探す~耳の病気〜

聞こえない(難聴)
耳垢がたまっていたり、気づかないうちに中耳炎を起こしている場合があります。
また、鼓膜が破れていたり、鼓膜に「真珠腫」というできものができている事も少なくありません。
子供の頃に中耳炎を繰り返していると鼓膜穿孔や、奥の耳小骨が固まっていることがあります。「鼻すすり」の癖がある人は「真珠腫」ができやすいと言われています。
突然聞こえなくなったり、こもった感じや耳なりが現れると「突発性難聴」の可能性があります。
加齢による難聴は回復が難しいですが、補聴器を使うことで聞こえやすくなる場合があります。
片耳だけ難聴や耳鳴りがある場合、「聴神経腫瘍」ができていることもあります。
耳が痛い(耳痛)
子供なら急性中耳炎が多く、鼻炎の病原菌が耳まで感染して発症します。鼻炎の治療や抗生物質の内服を行いますが、最近の急性中耳炎の半数は抗生物質が効かなくなった耐性菌が原因です。漫然と抗生物質を飲み続けると更に耐性菌が増加します。薬が効かなくて遷延している中耳炎は鼓膜切開を行ったり、場合によっては鼓膜に換気チューブを留置します。
鼓膜に真珠腫ができている場合があります。
硬い耳垢が詰まって痛んだり、耳かきで傷をつけていることもあります。
耳にヘルペスができて、顔面神経麻痺や難聴、めまいを併発するラムゼイ・ハント症候群があります。
生まれつき耳のそばに小さい穴が開いていて、これが細菌に感染し化膿する先天性耳瘻孔という病気もあります。
耳だれ(耳漏)
耳垢、外耳道炎、中耳炎のことが多いです。ずっと耳だれが続いている時は、耐性菌がいる場合も多いです。きちんと細菌検査を行って、有効な抗生物質を使うことが大事です。進行した中耳炎では、手術をしないと耳だれが止まらない場合もあります。
めまい、ふらつき
めまいの他に、「しゃべりにくい、飲み込みにくい、手足に力が入らない、歩けない、皮膚の感覚がおかしい」などの症状がある時は脳卒中(脳出血、脳梗塞)の可能性があります。直ちに総合病院を受診してください。
耳が原因のめまいでは、頭の向きを変えると起こる「良性発作性頭位めまい症」、定期的に繰り返す「メニエール病」、激しいめまいに嘔吐を伴う「前庭神経炎」などがあります。
耳なり(耳鳴)
耳鳴りははっきりした原因がわかっていませんが、血流改善薬、ビタミン剤、精神安定剤、漢方薬などで軽くなることがあります。脳を耳鳴りに慣れさせる補聴器もあります。急に耳鳴りが出現し持続する場合、突発性難聴の可能性があります。症状が片耳だけの場合、脳腫瘍が隠れている事もあります。

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耳垢(耳あか)
ベタベタした耳あかの人は、自分で耳掃除は難しいです。無理矢理続けていると、耳あかを奥に押し込んだり、外耳道を傷つけたりします。耳あかが気になる方は掃除しますので、どうぞ気軽に受診されてください。
中耳炎で手術を受けて、耳の中が広い方も定期的に耳掃除が必要ですので来院されてください。
急性中耳炎
鼻水の中の細菌やウイルスが、耳管をのぼって中耳に感染を起こします。子どもに多いです。耳痛や発熱があり、ひどくなると鼓膜が破れて耳だれが出ます。小さな赤ちゃんでは耳を触ったり、不機嫌になったりします。治療は抗生物質と鼻炎の薬ですが、最近は急性中耳炎の半数は抗生物質が効かなくなった耐性菌が原因です。長期間に渡って抗生物質を飲み続けると、更に耐性菌が増加します。薬が効いていない時は鼓膜切開をして膿を出したり、鼓膜に換気チューブを留置する必要があります。
急性中耳炎
滲出性中耳炎
子どもで鼻汁が続いており、急性中耳炎が長期化すると滲出性中耳炎に移行します。中耳に水が溜まっている状態です。発熱や耳痛が無いため、一見治ったかに見えますが、聞こえが悪くなっています。「最近、反応が悪い。呼んでも気づかない。」「耳を気にして触る。」などがある場合、滲出性中耳炎を疑います。長期間放置しておくと、鼓膜が真空パックのように奥の壁に張り付いてしまい、鼓膜自体も薄くなります。薬で治らない時は鼓膜切開をしたり、進行した滲出性中耳炎では鼓膜換気チューブを留置します。すぐに治らないお子さんでも、成長すれば徐々に中耳炎を起こさなくなるので、1〜2年チューブを入れておくことをお勧めします。
慢性中耳炎
鼓膜に穴が開いて耳だれが続き、きこえが悪い状態です。子供の頃の中耳炎がきちんと治っていないと起こります。感染している場合は、処置と抗生物質で消炎します。手術をして穿孔を閉じると耳だれは止まり、きこえが良くなるケースもあります。
慢性中耳炎
真珠腫性中耳炎
鼓膜に「真珠腫」というできものができる病気です。放置すると真珠腫は大きくなり、周りの骨を溶かしながら鼓膜の奥に進展します。進行すると、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、脳膿瘍といった重い合併症を起こします。手術で真珠腫を摘出し、鼓膜を作り直す必要があります。真珠腫は再発することがあり、術後もしばらくは鼓膜の状態を観察します。
突発性難聴
突然、片耳の聞こえが落ちる病気です。原因不明ですが、ウイルスやストレスという説もあります。治療はステロイドホルモンで、難聴が高度だったり、めまいもする場合は入院して治療します。発症してすぐに治療を開始することが重要で、治療が遅れると治りません。
良性発作性頭位めまい症
頭を動かした時に数秒間、回転性めまいが起こります。頭を動かさなければめまいは起こりません。起床時や、夜トイレに起きた時に発症することが多いです。三半規管に耳石が入ることで、頭を動かすと刺激されてめまいが起こります。名前のとおり良性のめまいで、多くは1週間ほどで軽快します。
メニエール病
めまい、難聴、耳鳴を繰り返します。内耳のリンパ液の浮腫が原因で、治療は浮腫を引かせる薬を飲みます。
前庭神経炎
激しい回転性めまい、嘔吐が起こります。ウイルス感染が原因と考えられています。ひどいめまいのため入院する場合が多いです。
先天性耳瘻孔
生まれつき耳の横に小さな穴が開いています。感染しなければ放置して構いません。しかし、感染すると中に膿がたまり、皮膚が赤く腫れます。抗生物質や切開排膿で治療しますが、感染は繰り返すことが多く、根本的には手術で皮下の袋を摘出しないと治りません。
耳硬化症
鼓膜の音の振動を伝える耳小骨という部分が次第に硬くなる病気です。中耳炎にかかったことがないのに伝音難聴だと、耳硬化症の可能性があります。硬くなって動かなくなった耳小骨を手術で取り替えると、聞こえが回復します。

鼻の病気

鼻は呼吸をしたり、匂いを嗅いだりしています。病気になると鼻がつまって口呼吸になったり、いい睡眠が取れなかったり、匂いがわからなくなります。顔面痛や頭痛の原因になっている場合もあります。
鼻の病気
鼻

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鼻水
サラサラしていればアレルギー性鼻炎、花粉症、血管運動性鼻炎などです。
ドロッとして色がついていれば副鼻腔炎(蓄膿症)の可能性があります。臭う場合はカビがいることもあります。
鼻づまり
鼻炎で粘膜が腫れていたり、副鼻腔炎が進行しポリープができている事があります。
真ん中の鼻中隔が曲がっていて鼻が詰まる場合は、手術で改善する方もいます。
くしゃみ
アレルギー性鼻炎、花粉症、血管運動性鼻炎などで、外から入ってきたホコリなどの異物を排除するためにくしゃみが起こります。
においがしない
匂いを感じる部分は鼻の最上部にあります。そのため、鼻炎で鼻がつまると嗅覚が落ちます。風邪のあと匂いがしなくなることもあります。
鼻やほほが痛い
鼻炎や副鼻腔炎が多いですが、奥に悪性腫瘍ができている事もあります。
鼻血
鼻炎や鼻中隔弯曲症があると出やすいです。子供もよく鼻血が出ます。
高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などで降圧薬、抗血栓薬などを服用中だと大量に出血することもあります。悪性腫瘍から出血することもあります。

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アレルギー性鼻炎
1年中鼻炎症状があれば、ダニやホコリ(ハウスダスト)のアレルギーです。程度に応じて飲み薬や点鼻薬で治療します。
花粉症
最近、スギ花粉症は増加しています。春先に鼻炎症状が出ればスギ花粉症かもしれません。花粉症はスギ以外にもあり、一度血液検査でアレルギーの原因を調べておくと、毎年先手を打って治療ができます。
副鼻腔炎
鼻がつまる、鼻が臭う、鼻水がのどに降りてくる、痰が絡む、匂いがしない、頬や眼の周りが痛い、頭痛がするなど副鼻腔炎の症状は様々です。レントゲンや内視鏡検査で診断します。ひとまず薬で治療しますが、慢性化していたり、重症の場合は手術をお勧めします。
昔の副鼻腔炎(ちくのう症)の手術は歯茎を切開してノミで骨を削っていたため、術後に頬が腫れてました。今は切開しない内視鏡手術が主流なので術後が楽になっています。
副鼻腔炎
鼻骨骨折、顔面骨骨折
スポーツ、転倒などで受傷します。レントゲンやCTで骨折の状態を診断します。鼻骨は軽微な骨折であれば経過観察で構いませんが、鼻が曲がっていたり陥没していれば整復手術を行います。眼の周りの骨折は状況によりますが、視力や視野に問題が出る場合は手術をします。頬や顎の骨折も戻さないと噛めなくなることがあり手術をします。
悪性腫瘍
鼻の中にも癌、悪性リンパ腫、悪性黒色腫といった悪性のできものができます。これらは大きくなるため、症状がひどくなったり痛みがあったり徐々に頬が腫れてきた場合は、内視鏡でできものがないか検査します。画像検査、病理組織検査をしてから治療方針を考えます。

のどの病気

口からのどの働きとして食事、会話、呼吸があります。感染や炎症を起こすと、痛みで食べれなくなったり声がかすれたりします。また、飲み込みが悪くなると唾液や食べ物が気管に入ってしまい肺炎を起こすこともあります。
のどの病気
のど

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のどが痛い
風邪や急性扁桃炎などが多いですが、扁桃炎が重症化すると奥に膿がたまって危険な状態になります。
急激につばも飲めないほど痛くなった場合は急性喉頭蓋炎の可能性もあり、呼吸困難になるため入院が必要です。
タバコや飲酒の量が多い人は癌ができているかもしれません。内視鏡で詳しく観察します。
口内炎
普通の口内炎は1週間ほどで治りますが、ずっと治らなかったり、大きくなったり痛みが強い場合は癌の可能性があります。早めに診断することが重要です。
声がかすれる、声が出ない
声帯ポリープ、声帯麻痺、加齢など様々な声帯の変化で声は出なくなります。タバコの本数が多い人は喉頭癌になりやすいです。高解像度の内視鏡で、のどの状態を評価します。
のどの違和感
扁桃炎、慢性的な炎症、癌、胃酸の逆流、甲状腺腫瘍などで違和感が出ることがあります。
飲み込みにくい、むせる
加齢により嚥下機能が低下していないか、内視鏡で評価します。嚥下機能が低下し誤嚥していると、肺炎のリスクがあります。

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扁桃炎
扁桃腺が細菌に感染し、のどの痛みと熱が出ます。炎症が強い場合は点滴をします。重症で食事が食べれなかったり、悪化している時は入院して治療します。
年に何度も扁桃炎を起こす場合は、扁桃腺の摘出手術をお勧めします。
扁桃炎
扁桃肥大、アデノイド肥大
子供で、扁桃腺や鼻の奥のアデノイドが大きいため気道が狭く、夜間の睡眠時に無呼吸を起こしている場合は手術を勧めています。手術をするとのどが広くなるため呼吸が楽になり、熟睡でき寝起きが良くなります。飲み込みもしやすくなって、食べる量が増えたと言われることもあります。
アデノイド肥大
声帯ポリープ
学校の先生など、よく喋る職業の人にできやすいです。声の安静で改善する場合もありますが、変化がなければ手術で切除します。大きな声を出す子供では声帯結節ができます。
嚥下障害
加齢により飲み込みが悪くなってくると誤嚥している場合があります。気づかないうちに唾液や食事が気管へ流れ込み、咳があればいいですが、咳が出ないと肺炎を起こす危険があります。誤嚥による肺炎は繰り返す傾向があり、体力が落ちてくると死亡することもあります。当院では嚥下の状態を内視鏡で評価します。
嚥下障害
舌癌、咽頭癌、喉頭癌
のどの癌は進行すれば痛みや声がれが出てきますが、初期にはあまり症状が出ない場合があります。飲酒や喫煙をされる方で最近のどの違和感がある方は、一度内視鏡検査を受けましょう。早期発見が重要で、進行癌になると大きな手術が必要になります。

その他の病気

耳・鼻・のど以外の顔面や首も耳鼻咽喉科の疾患です。顔面神経麻痺などは初めにどの科を受診したらいいかわからず、治療開始が遅れるケースもあります。
その他の病気

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顔の麻痺
片側のまぶたが閉じない、唇に力が入らず水が漏れるなどの症状が出た場合、顔面神経麻痺です。水痘(水ぼうそう)やヘルペスのウイルスが原因と考えられています。ステロイドと抗ウイルス薬の治療を行いますが、治療開始が遅れると治らない場合があります。早めに治療を開始することが重要です。きれいに治すには鏡を使ったリハビリも大切です。
首のしこり
リンパ節の炎症や腫瘍、甲状腺や唾液腺(耳下腺、顎下腺)の腫瘍があります。血液検査や画像検査を行い、内服治療や手術が必要になる場合もあります。
顔面の腫れ
副鼻腔の嚢胞や悪性腫瘍、皮膚の感染など。画像診断などを行い、手術が必要な場合もあります。

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顔面神経麻痺
顔半分に力が入らなくなり、口から水がこぼれたり唇が曲がったりします。水痘(水ぼうそう)やヘルペスのウイルスが原因と考えられています。ひどい時は耳痛、耳の発疹、めまい、難聴を伴います。早急にステロイドと抗ウイルス薬の治療を開始します。重度の麻痺では入院して治療します。
リンパ節腫脹
のどの炎症や悪性腫瘍によって首のリンパ節が腫れることがあります。血液検査や画像検査を行い、悪性であれば手術や薬物治療が必要になる場合もあります。
リンパ節腫脹
甲状腺腫瘍
良性と悪性がありますが、悪性なら手術が必要です。良性でも大きい場合は手術をすることがあります。甲状腺ホルモンの異常があれば内服治療をします。
甲状腺腫瘍
耳下腺腫瘍
良性のことが多いですが、悪性が疑われる場合手術をします。
耳下腺腫瘍
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中のいびきが悪化すると、一時的に呼吸が止まっていることがあります。鼻づまりがあったり、のどが狭いと起こります。鼻炎・副鼻腔炎があれば薬物治療をします。扁桃腺肥大でのどが塞がっている場合は、手術で扁桃腺を切除しのどを広げる治療もあります。アプノモニターという器械で睡眠中の無呼吸の状態を検査することもできます。
睡眠時無呼吸症候群